注目のエリア サウスロンドン出身のミュージシャン
90年代のロンドンのアートや音楽シーンの発信地は中心部でしたが、2000年代に入ってからロンドン中心部の家賃が高騰した影響で、アーティストはイーストロンドンに移っていきました。
今もイーストロンドンはシーンの中心地ですが、10年代以降サウスロンドンが注目されています。
かつてのイーストロンドンと同様、アートスクールの学生や若いクリエイターがサウスロンドンに移り住んで、街の風景が大きく変わりました。
素材にこだわるレストランやカフェ、現代アートの発信地として注目度を高めるサウスロンドンギャラリーが街に並び、夏にはアートフェスが開催されるなど、トレンドの発信地として盛り上がりを見せています。
そんな注目のエリア、サウスロンドン出身のミュージシャンをご紹介します。
Sampha(サンファ)
(Via: http://www.vulture.com/2017/02/album-review-sampha-debut-process.html)
デビュー・アルバム『Process』が、9月14日に発表されるマーキュリー賞にエド・シーランらと共にノミネート。
デビュー前から、フランク・オーシャン、カニエ・ウェスト、ドレイクやSBTRKTなど、トップ・アーティストたちの作品に数多く参加し、カニエの最新アルバム『The Life of Pablo』の収録曲「Saint Pablo」にもフィーチャーリングされています。
その美しい美声は、ネクストサムスミスとも言われ、期待度の高い新人アーティストです。
Stormzy(ストームジー)
(Via: https://noisey.vice.com/en_ca/article/9a8ew3/stormzy-has-cemented-his-position-as-the-new-king-of-grime)
同じく今年のマーキュリー賞にノミネートされているグライムアーティストのストームジーは、デビュー・アルバム『Gang Signs & Prayer』で、グライムアーティストとして史上初の全英チャート初登場1位を獲得。
アルバム収録曲の全16曲がトップ100に同時ランクインし、ジャスティン・ビーバー、ビヨンセ、ザ・ウィークエンドに続く史上4人目の快挙を成し遂げました。
アデルも彼のファンと公言し、エド・シーランも彼の楽曲「Shape Of You」のリミックス版でフィーチャリングしています。
Cosmo Pyke(コスモ・パイク)
(Via: http://greatescapefestival.com/artists/cosmo-pyke/)
若干19歳、アデルやエイミーワインハウスが通っていたブリットスクール出身で、次世代の100人を選ぶ「DAZED 100」にも先述のサンファと共に選出されています。
スケーターやストリートペインター、モデルなど様々な顔を持つ彼は、フランクオーシャンの 「Nikes」のMVにも登場しています。
ブルースやジャズ、ヒップホップ、ネオソウルなど多くの要素をミックスさせたこちらの楽曲は、サウスロンドンの中でも注目の地域「ペッカム」で地元の仲間たちと撮影されたものです。
Fat White Family(ファット・ホワイト・ファミリー)
(Via: https://www.pledgemusic.com/projects/fatwhitefamily)
2011年にサウスロンドンのペッカムで、スクワット(空き巣物件を無断占拠すること)をしながら共同生活していた6人で結成された異色のバンド。
UKメディアで“イギリスで最も危険で厄介、最も不可欠なバンド”“イギリス最後のロックンロールバンド“などと評され、ライブ会場から開催を拒否される程の過激な発言やパフォーマンスで注目を集めています。
サッチャー元首相が逝去した時には「魔女は死んだ!」という横断幕を住居から下げて、現地で話題になりました。
楽曲でも「Bomb Disneyland」など過激な歌詞を織り交ぜ、共作で彼らと数日間共にしたショーン・レノン(ジョンレノンの息子)は、”乱雑で制御不能“と語っています。
こちらの「Cream Of The Young」は、表向きは未成年の性行為についての歌詞ですが、実際は若いアーティストを搾取する現代のロック産業に対する批判を込めた内容です。
先日公開された、トレインスポッティング 2 のオリジナル・サウンドトラックにも収録されている「Whitest Boy On The Beach」
彼らが今後どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、思わず期待してしまいます。